加賀前田家の名君と言えば、3代利常、5代綱紀が挙げられます。利常は幕府の強い警戒を巧みにかわして加越能3カ国を保ち、内政面では十村(とむら)制の整備や治水事業で優れた治績を上げました。この藩政改革は「改作法(かいさくほう)」と呼ばれ、「政治は一加賀、二土佐」と称えられるほど盤石の態勢を築きました。
また、利常の後見を受けながら3歳で家督を継いだ綱紀は、美術・工芸・芸能等の産業や文化を積極的に保護・奨励しました。工芸の標本、古書の多くを編纂・収集した「百工比照(ひゃっこうひしょう)」や、百科事典「庶物類纂(しょぶつるいさん)」の編纂、東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)(国宝)の保存なども手がけ、新井白石から「加賀は天下の書府」と礼賛されました。
- 延宝金沢図(石川県立図書館所蔵)城を取り囲む黒い部分が惣構
- 加州加賀郡炭竈村物成之事(村御印)(金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵)
- 東寺百合文書(京都府立総合資料館 東寺百合文書WEBから)